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木星会さん
山に囲まれた
小さな村
高知の市街地から北へと山を越え、
早明浦ダム沿いをしばらく進むと
見えてくる大川村の看板。
村の中心部から沢を登ること約10分、
清流沿いの製材所 兼 ショールーム
「木星館」で川村さんが出迎えてくれました。
大川村は林業が盛んで、
この場所ではかつて7組くらいの
林業家が飯場として共同生活を
送っていたとのこと。
建築から林業、
そして木工へ
関西の大学で建築を学んでいた頃、
芸術家の岡本太郎さんの仕事に関わった
きっかけでデザインへの関心が芽生え、
グラフィックや内装の業界で経験を積むことに。 1980年に大川村へUターン後、
家業である林業を継承。
当初は木材として価値が無かった曲がり木や
樹の根元部分に着目し、
木目や節の特徴を活かした椅子に仕立てて
販売したところ、予想外に売れ、
木星会の設立に繋がりました。
オリジナル家具が
繋ぐナリワイ
葉っぱの形をしたテーブルをはじめ、
木の温もりが感じられる木星会の家具は、
首都圏の展示会でバイヤーの目に留まり、
大口の受注やスタジオジブリのお店の内装や
什器も手がけるきっかけになりました。
ショールームにはキリンを模した棚や
雑貨など所狭しと商品が並び、
川村さんのアイデアの豊富さを物語っています。
自然災害と
次世代への継承
2004年に高知県へ上陸した台風10号では、
ショールーム脇の山でも土砂崩れが発生し、
製材機械の破損や床上浸水など深刻な被害が発生。 20年が経過した今でも、
仕事は災害前ほどには復活していないそう。
そんな逆境の中でも、遊具の開発や
子ども向け木工教室の開催などを
精力的に続けている川村さん。
今後もその活躍に目が離せない。
靴屋の勝見さん
森の中にある
靴の学校
高知県の東部、険しい山間を流れる
上韮生川を奥に奥に進んでいく。
曲がりくねった道の先に
靴の学校「base works 高知」はある。
この森の奥で週に4回、
靴やかばん、お財布やキーケスなどを作る
教室を開いていて、県内外から
絶えず生徒さんが集まっている。
険しい山々が連なる
土佐の奥地
「base works 高知」の周辺には
多くの生きものがつくりだす
豊かな森が広がっている。
台風が来ても周りの木が
防風林の役割を成してくれている。
この地は元々山師の方が多く
戦後の政策により木をたくさん植えた。
届かない所には投げて植樹したという
エピソードも残っている。
東京から
84の森へ
勝見さんと妻の麻子さんが
この森に引っ越してきたのは
2012年3月のこと。
麻子さんの友人を訪ねて高知を訪れた際に
物部の厳しい感じが肌に合うなと思い
この小さな集落に住むことを決めた。
よけいなものがなにもないのが魅力。
集落には外灯がひとつしかなく
機械的な音はまったくしない。
必要なものだけつくる昔ながらの
ものづくりが残っているという。
対極にある東京とは違う
住んでいて心地いい場所をみつけた。
靴づくり合宿
今年の2023年4月から教室の隣に宿をつくり
3泊4日で靴をつくって帰れるスタイルを
はじめた。静かな自然の中で黙々と
集中しながら自分のための靴をつくれるのは
とてもスペシャルな体験だ。
元々県外から来られた方々は
近くに泊まれるところがないため
市内に宿を取ってここまで通っていた。
そこまで時間かけてでも
通いたいと思う魅力がある。
まずは
足を知る
靴による足のトラブルを抱えている人は
多い。そもそも流通している靴の中から
その人に合う靴をみつけるのは困難だ。
フットプリンターとメジャーを使い、
採寸した足のデータをみると
歩き方のクセや不具合がみえてくる。
ここではワークショップ形式で教わりながら
自分の足にピッタリあった靴を
自分の手でつくることができる。
まずは足を知るところから
靴づくりははじまっていく。
人を惹きつける
84の森
木を切る、道の草を刈る、神事など
山に住めば山にまつわるいろんなことに
向き合う必要がある。
暮らしの中の不具合も電話1本ですぐに
修理が来てくれる環境ではない。
水道がどこに埋まっているのか、
排水がどうこにつながっているのか。
わかっていたら自分で治すことができる。
厳しい山の暮らしをおもしろがってみる。
五感を使った暮らしが
84の森に人を惹きつけるのかもしれない。
日本のお正月をお祝いするには欠かせない門松。
84メンバーである里山百姓の川村一成さんは
長年、里山で育った天然の材料だけで「84門松」をつくられています。
84の森から生まれた松・竹・梅・南天・熊笹はどれも高知の風土が感じられ、川村さんの知恵と工夫が込められています。
材料はすべて
川村一成さんの
里山から
川村一成さんプロフィール
南国市奈路という地域に暮らし、棚田で米を作り、春は筍、秋は四方竹、盆と彼岸にはシキミ榊、年末には家の周辺で伐り集めた素材で門松を作り出荷している。1949年生まれ。高知大学農学部暖地農学科卒業後、南国市役所勤務を経て1976年に就農。
親子で
門松チャレンジ
今回子どもたちと制作した「84ミニ門松」は84門松のミニバージョン!
持ち運びもしやすく、これひとつでお家がパッとお正月モードになります。
川村さんにつくり方を教わりながら総勢10組の親子が参加し、お正月を先取りしたかのような賑わいをみせました。
戸田商行さん
日本最後の
もくめん屋
日本で最後のもくめん屋。戸田商行さん。
木材を薄く削ってつくる木毛(もくめん)は、
主に緩衝材として使われています。
果物などの園芸農産物や、雑貨など緩衝材として
触れたことのある人が多いと思います。
全て高知県産の木材でもくめんを製造しています。
はじまりは
昭和36年
創業は昭和36年。現在の社長・戸田実知子さんの義理のご両親が始められました。
昭和30年代にもくめんの需要が増え、自宅の横で中古の機械を買ってほそぼそと始めたとのことです。昭和45年には苦労して工場を建て、全国最大規模の工場となりました。
はじめは赤松
いまはひのき
もくめんの木の種類は、松、ひのき、杉、楠があります。創業当初は、赤松が白くきれいで加工しやすく、においも少ないため、好まれて使われていました。最近は良い香りのするひのきが人気だそうです。実物の香りをかがせていただきましたが、楠の香りが爽やかで印象的でした。
すべてが
はちよん
戸田商行さんは、全て高知県産の木材から、もくめんを製造しています。皮を剥いでカットし、余った端材はもくめんを乾燥させる燃料として有効活用しています。木を余すところなく使った、まさにはちよんを活用した商品です。
あたらしい試み
ぶんたん精油
戸田商行さんはあたらしい試みとして、
ぶんたんの皮からエッセンシャルオイルをつくりはじめました。戸田商行さんの近辺だけでも70軒ほどのぶんたん農家がいるそうです。あたらしい84の活用が始まろうとしています。